オンデマンド・デリバリーという言葉、最近よく聞く言葉です。次々と新しいウェブサービスを世に送り出しているサンフランシスコ・シリコンバレー発のPostmates、instacartやDoor Dashなど、この1、2年でサービス範囲が広がり、ユーザー、登録ワーカーともに急増中。一体どういったサービスなのでしょう。
Postmates公式サイトより(https://postmates.com/)
アメリカの不便さにマッチしたサービス
オンデマンドとは、「今すぐに」といった意味で、見たいときにすぐ見られるテレビや映画の「オンデマンド配信」は、日本でも広く知られたサービスです。オンデマンド・デリバリーの売りは、欲しいときに欲しいものが1~2時間で届くというスピード。これはアメリカではかなり画期的なのです。
日本にはコンビニがいたる所にあって、通販の荷物を受け取ったり、写真をプリントしたり、サッカーのチケットを買ったりもできますね。ランチもディナーもお酒もスイーツもそろっていて、靴下も歯ブラシものし袋も買える。コンビニさえあれば、たいていの用が済んでしまいます。日本を離れてみないと日本のコンビニのすばらしさは実感しにくいと思いますが、アメリカにはこんな至れり尽くせりのコンビニがありません。
またアメリカの都市は、オフィス街はオフィスビルばかりで、レストランやお店のあるエリアへは多少歩かなくてはならないような街のつくりになっています。住宅地も同様で、商店街と住宅区域が別なので、ちょっとの買い物にも車を出して、数キロ走って、という手間と時間がかかります。そういう不便さに切り込んで来たのがInstacartやPostmatesなどの買い物代行・配達サービスなのです。
おつかい代行 Instacart
Instacart公式サイトより (https://www.instacart.com/)
2012年にスタートした食料品買い物代行サービスで、わずか3年で全米18の州に拡大しました。ユーザーはサイトやアプリを使ってお気に入りのマーケットで商品を選びます。まるで普通のオンラインショッピングですが、なんと2時間以内の配達が可能。利用料も$3.99~$7.99とお手頃で、ニューヨーク、サンフランシスコなどでは利用者が定着しています。
サービス拡大中のPostmates
Postmatesのアプリより
Postmatesは食料品だけでなく、ユーザーのいるエリア内での買い物全般を代行し、1時間以内に届けるというサービス。エリア内の提携店(ドラッグストアやレストラン、Appleストアも)をアプリから選んでオーダー。誰が届けてくれるか、あと何分で到着するかがリアルタイムでわかるようになっています。利用料は基本料金$5.00プラス移動距離に応じた変動料金が加算され、さらに代金の9%サービスフィー、任意のチップが加算されます。時間帯によってはさらに利用料が高くなるので、手ごろなサービスとはいえません。ですが、急成長ぶりからもニーズが高いということがわかりますね。
InstacartとPostmatesはどちらもサンフランシスコが発祥。シリコンバレーではほかにも、レストランからのテイクアウトを1時間以内に配達するDoor Dashが人気を集めています。この地域の駐車場不足や交通渋滞、時間帯によるスーパーマーケットやレストランの混雑ぶりから考えると、こういったサービスが生まれるのも必然。またITバブルで裕福な世帯やリッチな若者が多いのも、サービスの急成長の背景といえます。
日本での類似サービス
日本ではLINEが類似のフードデリバリーに参入しています。LINE WOWは、提携のレストランからテイクアウトを配達するサービスで、渋谷区、目黒区の全域と港区、新宿区、千代田区、中央区、世田谷区、大田区の一部で展開しています。もともと便利な東京都の中心地でのオンデマンド・デリバリー。手数料も500円とお手軽価格で、話題のお店とのコラボ商品や、ユーザーの希望を「おねがい」できるシステムなど、アメリカのオンデマンド・デリバリーとはまた別次元のサービスを提供して拡大を狙っています。
LINE WOWのアプリより
クラウドソース・デリバリーに注目
在宅ワーカーとして、納期が迫り買い物に行く時間がないときや、食事にも行けないとき、こんなサービスがあれば利用したいですね。時間がお金で買えるとなれば、しかもお手頃価格ならば使わない手はありません。毎日は無理でも必要なときには強い味方になってくれそうなサービスです。
また、働き手にとっては魅力的なチャンスでもあります。オンラインでニーズと稼働可能な人をマッチングするクラウドソーシングの新しい仕事として、デリバリーの分野は注目を集めています。